「これくらい普通」と思っていた痛み|からだが出すサインの読み方
痛みに慣れてしまうと、それがいつからあったのかも分からなくなります。我慢を前提にせず、自分の状態を言葉にして相談につなげるための整理です。
痛みに慣れる、ということが起きる
毎月のことだから。昔からだから。周りもそうらしいから。そう思っているうちに、痛みは日常の一部として扱われるようになります。慣れというのは便利な機能で、続いているものほど意識に上がらなくなります。
その結果、いつからその痛みがあるのか、以前と比べて強くなっているのかどうかも、思い出せなくなっていきます。相談しようと思ったときに一番困るのが、この「基準がない」という状態です。
「普通かどうか」は他人と比べても分からない
痛みの感じ方には個人差があり、同じ状態でも表現のしかたが人によって違います。だから、友人が平気そうにしていることも、自分がつらいと感じることも、どちらも本当のことでしかありません。
比べるとすれば、他人ではなく過去の自分です。半年前と比べてどうか、去年の同じ時期と比べてどうか。この見方に切り替えると、我慢の是非ではなく変化の有無が判断材料になります。
痛みを、いくつかの軸で分けて記録する
痛みを説明しようとすると、どうしても「痛いです」で止まってしまいがちです。あらかじめ軸を決めておくと、記録も相談も一気にしやすくなります。手帳やスマートフォンのメモに、ひと月ぶんだけでも残しておくと違います。
| 見る軸 | 書き留めること | 役に立つ場面 |
|---|---|---|
| いつ | 時期、時間帯、周期との関係 | パターンがあるかどうかの手がかりになる |
| どこ | 場所、範囲、広がるかどうか | 説明が具体的になる |
| どんな | 重い・刺す・じんとする、など | 言葉が出てこないときの助けになる |
| どのくらい | 予定を変えたか、薬を使ったか | 強さを行動で表せる |
| 変化 | 以前と比べて増えたか減ったか | 受診の判断につながりやすい |
我慢が前提になっている場面に気づく
痛みそのものより、痛みを前提に生活を組み立てていることのほうが問題になっている場合があります。予定の入れ方、仕事の抱え方、外出の判断。気づかないうちに、痛みに合わせた形が固定していることがあります。
- 特定の時期は最初から予定を入れないようにしている
- 痛み止めを飲む前提でスケジュールを組んでいる
- つらいことを人に言わずに済ませる方法が、うまくなっている
- 「動けない日がある」ことを、自分の性格の弱さとして説明している
相談するときに持っていくとよい情報
限られた時間で状態を伝えるのは、慣れていないとなかなか難しいものです。事前に書き出しておくと、その場で思い出そうとしなくて済み、聞きたいことを聞く余裕も生まれます。
- いつ頃から続いているか(おおよそで構わない)
- 直近数回の状況をメモしたもの
- 使っている市販薬やサプリメント、常用している薬
- 生活に出ている影響(休んだ日数、できなくなったこと)
- いちばん知りたいことを、ひとつだけ先に決めておく
受診をためらう理由は、たいてい具体的
行ったほうがいいと分かっていても足が向かない理由は、漠然とした不安というより、もっと具体的なことが多いようです。何をされるのか分からない、大げさだと思われそう、時間が取れない、費用が読めない。
こうした引っかかりは、順番に外していけます。受診の流れを事前に調べておく、予約時に不安な点を伝えておく、女性の医師がいるところを選ぶ。ハードルは、全部いっぺんに越えなくても構いません。
「いつもと違う」も、痛みと同じ扱いでいい
相談してよいのは痛みだけではありません。出血のしかたが変わった、周期が明らかにずれてきた、においや分泌物がいつもと違う、だるさが長く続く。こうした変化も、記録しておく価値があります。
はっきりした症状がなくても、「なんとなくおかしい」という感覚は情報として意味があります。受診して問題がなかったと分かること自体が、ひとつの結果です。
痛みは、気合いで測るものではない
痛みに強い、弱いという言い方が広く使われていますが、それは体の状態を説明する言葉ではありません。耐えられているかどうかと、体に起きていることは、そもそも別の話です。
自分の状態を言葉にできるようになることは、誰かに分かってもらうためだけの技術ではありません。自分が今どこにいるのかを知るための、いちばん手前の作業です。