避妊の選択肢を、いちど並べて見てみる|自分で選ぶための地図
避妊は相手任せになりやすい領域です。今どんな方法があり、それぞれ誰が管理し、どこで相談できるのか。選ぶ前に全体像を並べて整理します。
相手に任せたまま来てしまう領域
避妊の話は、いざその場になると切り出しにくく、結局は相手の判断に預けたままになりやすいところがあります。断りにくさや空気の重さが先に立って、方法そのものを検討する時間がないまま過ぎていく、ということが起こります。
けれど妊娠する可能性を引き受けるのは自分の体です。選択肢を知っているかどうかで、その場で言えることも変わります。ここでは、どんな方法が語られているのかを並べて、全体像として見られるようにします。
特定の方法をすすめるための記事ではありません。自分に合うかどうかは体質や持病、生活によって変わるので、最終的には医療機関で相談する前提で読んでください。
「誰が管理するか」で分けて見る
方法を覚えようとすると数が多く感じますが、誰の側で管理するものかで分けると見通しがよくなります。その場で相手と一緒に使うものと、自分の側であらかじめ用意しておくものでは、必要な準備も相談先もまったく違います。
相手の協力が前提の方法だけを持っていると、断られたときに手元に何も残りません。自分の側で完結する選択肢を一つでも把握しておくことは、相手を信用しないという話ではなく、単に手数を増やしておくということです。
主な方法の並べ方
下の表は、日本で一般に語られる方法を、入手のしかたと管理する側で整理したものです。効果の高さを比べるための表ではありません。医学的な比較は個々の条件で変わるので、ここでは扱いません。
見てほしいのは、「どこに行けば相談できるか」の欄です。方法を知らないことより、相談窓口を知らないことのほうが、いざというときに動けなくなる原因になります。
| 方法 | 入手・開始のしかた | 主に管理する側 |
|---|---|---|
| コンドーム | 薬局・ドラッグストア・通販で購入できる | その場で使う二人(相手の協力が要る) |
| 低用量ピル等の内服薬 | 医師の診察と処方が必要 | 自分(毎日の服用を続ける) |
| 子宮内に入れる器具(IUD・IUS) | 婦人科で装着・除去を行う | 自分(装着後は日常の手間が少ない) |
| 緊急避妊薬 | 原則として医療機関の受診・処方が必要 | 自分(時間の制約が大きい) |
| 避妊手術 | 医療機関での手術。適応や条件がある | 手術を受けた本人 |
性感染症の予防とは別の話
避妊と性感染症の予防は、同じ場面の話でありながら重なりません。内服薬や器具は妊娠を避けるための方法であって、感染を防ぐ働きが期待されるものではないと説明されます。ここを一つにまとめて考えていると、片方だけの対策で済ませてしまうことになります。
二つは別々に用意するもの、と分けて覚えておくほうが確実です。どちらをどう組み合わせるかは相手との関係や状況によって変わるので、そこも含めて医療機関で聞ける内容です。
緊急避妊薬は「時間」が問題になる
避妊ができなかった、あるいは失敗したかもしれないというときに使われるのが緊急避妊薬です。この薬については、服用までの時間が短いほうが望ましいとされており、迷っている時間そのものが選択肢を狭めます。
日本では原則として医師の処方が必要とされてきましたが、薬局での取り扱いについては議論や試験的な取り組みが続けられてきたと言われています。地域や薬局によって状況が異なるため、必要になってから調べるのでは間に合わないことがあります。
夜間や休日に対応している婦人科、自治体の相談窓口、オンライン診療の可否。この三つを、必要になる前にいちど調べて控えておくだけでも、動き出しの速さが変わります。
婦人科に行くまでのハードル
避妊の相談で婦人科にかかることを、大げさだと感じる人は少なくありません。何を聞かれるか分からない、内診があるのではないか、理由を説明できる自信がない。そういう不安が受診を先送りにします。
実際には、相談だけで受診してよいとされている医療機関も多く、初回にどこまで進めるかは相談しながら決められることが一般的です。ウェブサイトに「ピル外来」「避妊相談」といった表記がある医療機関を選ぶと、話の入り口が短く済みます。
うまく説明できる必要もありません。「避妊の方法を相談したい」だけで用件としては十分に通ります。
決めるのは今日でなくていい
方法を今すぐ一つに決める必要はありません。ただ、選択肢の名前と、相談できる場所の名前を知っている状態と、知らない状態では、判断できる幅がまったく違います。
自分の体について決めることを、その場の空気や相手の都合に預けないでいられること。避妊の知識が持っている意味は、突き詰めればそこにあります。まずは、通えそうな婦人科をひとつ調べておくところからで構いません。