夕方のコーヒーと、寝る前の一杯|眠りとの距離をいちど測り直す
眠りが浅い理由を探すとき、見落とされやすいのが日中のカフェインと夜のお酒です。やめる前に、量ではなく時間から見直すための整理をします。
眠れない理由を、夜だけに探してしまう
寝つきが悪い、途中で目が覚める、朝になっても疲れが残っている。そういうとき、私たちはたいてい夜の過ごし方を疑います。スマートフォンを見すぎたのではないか、寝る時間が遅かったのではないか、と。
けれど眠りに影響するものは、必ずしも寝る直前に起きているとはかぎりません。昼過ぎに飲んだ一杯や、夕食に合わせた一杯が、夜の状態に関わっていることがあります。
ここでは、カフェインとお酒について、やめる・やめないではなく「いつ飲むか」の側から整理してみます。
カフェインは、飲んだ瞬間だけの話ではない
カフェインは眠気を感じにくくする働きがあるとされ、その作用は飲んだ直後だけでなく、しばらく体に残ると説明されています。どのくらい残るかには個人差が大きく、同じ量でもまったく平気な人と、夕方の一杯で夜に響く人がいます。
つまり「自分は効かない体質だから大丈夫」という感覚も、「一杯くらい平気」という基準も、他人と共有できるものではありません。自分の体で確かめるしかない部分です。
眠りが気になっているなら、量を減らすより先に、最後の一杯を何時に飲んでいるかを見てみるほうが分かりやすいことがあります。
コーヒー以外にも入っている
コーヒーだけを気にしていると、他から入ってきていることに気づきにくくなります。とくに、リラックスのつもりで選んでいる飲み物にカフェインが含まれている場合があり、そこは見落とされがちです。
下の表は、日常でよく手に取るものを、見落としやすい点とあわせて並べたものです。含有量は製品や淹れ方によって差が大きいため、ここでは数値ではなく「気をつけどころ」として整理しています。
| 飲みもの・食べもの | カフェイン | 見落としやすい点 |
|---|---|---|
| コーヒー | 含まれる | カフェインレス表示のないものは基本的に含まれます |
| 紅茶・緑茶・ほうじ茶など | 含まれる | リラックス用に夜に選ばれやすい |
| ウーロン茶・ジャスミン茶 | 含まれる | 食事のお供として無意識に飲んでいることが多い |
| エナジードリンク・眠気覚まし飲料 | 含まれる | 夕方の作業のお供になりやすい |
| チョコレート・ココア | 含まれる | 飲みものとして数えられていない |
| 麦茶・ルイボスティー・そば茶 | 基本的に含まれない | 夜に切り替える候補になる |
お酒は「寝つき」と「その後」で働きが違う
寝つきが良くなるからと、寝る前に飲む習慣になっている人は少なくありません。実際、飲むと眠りに入りやすくなったように感じられることがあります。
一方で、飲んだ夜は途中で目が覚めやすい、朝早くに目が開いてしまう、という感覚を持つ人も多く、寝つきと眠りの続き方は別々に考えたほうがよいと言われています。寝る前の一杯を「眠るための道具」として使っていると、この差に気づきにくくなります。
眠れない日の対処としてお酒に頼る形が続いているなら、そこは量の問題というより、他に手立てがない状態になっているというサインとして見ておくと役に立ちます。
「やめる」より「ずらす」から始める
好きなものを断つ計画は、たいてい長続きしません。コーヒーをやめる、お酒をやめる、と決めた翌週には元に戻っていて、そのことがまた自己嫌悪の材料になります。
現実的なのは、時間を動かすことです。最後のコーヒーを一時間だけ早める、夜に飲むものをカフェインの入らないものに切り替える、寝る直前の一杯を食事中に寄せる。総量は変えなくても、体に残るタイミングは変わります。
ずらす方法なら、失敗という形になりにくいのも利点です。今日はうまくいかなかった、で終わらせられます。
自分の境界線は、記録でしか分からない
ここまで書いてきたことは、あくまで一般的な整理です。何時までなら平気なのか、どのくらいなら影響が出ないのかは、人によって違います。
二週間ほど、飲んだものと時刻、その日の寝つきと途中で目が覚めたかどうかだけを一行で書き留めてみると、自分の傾向が見えてきます。細かくつけようとすると続かないので、記録するのは時刻と一言だけで十分です。
見えてくるのは平均ではなく、自分の境界線です。それが分かれば、人の基準に合わせて我慢する必要も、逆に無理に許す必要もなくなります。
それでも眠れない日が続くとき
飲むものを調整しても眠れない状態が続く場合、原因は別のところにあるかもしれません。生活の変化、心配ごと、体の不調、服用中の薬の影響など、考えられることは複数あります。
眠れない状態が何週間も続いている、日中の生活に支障が出ている、といったときは、我慢して整えようとするより、医療機関に相談したほうが早く進みます。睡眠は、意思の強さで管理する対象ではありません。
夕方のコーヒーと寝る前の一杯を見直すことは、その手前でできる小さな確認です。効かなければ、次の手に進めばいい。それだけの話として扱えると気が楽になります。